大磯海岸

大磯で育ったので、自分で釣りはしなくても、人との付き合いで行くことはたまにあった。すぐそこが海だから、地元で釣りをする人も多い。大学に行くと遠くから遊びがてらで来る人もいた。そういう人は、大磯と聞くとすごい田舎で、魚なんていくらでもいるように期待したのかもしれない。

 

実際に大磯は田舎だけれど、海は繋がっている。近くは平塚や藤沢だったりする。多分、水はそんなにきれいではない。魚にしても、伊豆あたりのほうが住みやすいのではないかと思う。都市域からは釣り人がたくさん来る。休日の晴れた朝など、魚より釣り人のほうが多い気がするときもある。つまり釣れたのはあまり見たことがない。

 

大磯の悪口みたいになった。だけど、東海道本線金目川を越えて大磯に入ると、精神のテンションは明らかに落ちる。風景が変わる。不思議な形の山が風景の前面に出る。僕たちには緊張することが多すぎないだろうか。なにか釣れるとゴンズイだった。毒のある魚で触ると大変だそう。