新年3日目。いつの間にか2020年になっていた。永遠に来ない未来の話かと思っていたのに。それは火星で自動車が空を飛ぶみたいな響きだった。だけど今、テレビでは駅伝を放送しているし、正月だからと餅を食べる。日常が特に変わらない。どこかで何かが起こってはいるにしても、足元の変化はそれほどない。

昨日は駅前の立ち飲み屋で酒を飲んでいた。店内では誰もが金がなさそうで、社会的な背景もよく見えない。バラエティ番組がそれなりの音量で流されていて、それを見ながら飲んでいるらしい人が多かった。僕らは日本酒をやたらと頼み、途中から脈絡を欠いた会話を繰り返した。会計をすると異様に安い。どこか別のテーブルと間違えられたのか、そういう店だったのか。

目が覚めたら頭痛。新年早々に何をやっているのかと思わないでもないけれど、酒を飲む以外に、他所で気安く時間を使う方法を知らない。今日は2020年だというのに。大人というのがそういうものだとは想像しなかった。僕の知らないところで社会が激しい変化を遂げ、人工知能が不平等を排し、ナノテクノロジーが二日酔いを身体から除くようになりつつあるのかもしれない。僕は餅を食べながらその日のことを夢見ている。窓からの陽光が心地よい。