ポストの設置、家の未完成

雨が降っている。昨日の夜からずっと小雨が続いている。子供の幼稚園の運動会は延期になった。夏の大雨と違って静かで落ち着く。近くのテニスコートでテニスをしている人たちが叫ぶ声は聞こえる。雨が降っているというのに、限られた休みだから諦めがたいのか、それか元気だから気にならないのか。

 

さっき、ウチを建てた大工さんがやってきた。ポストを設置している。新築で家を建て、引っ越して半年経つけれど、家はまだ完成していない。先週は建設残土が回収された。それまでは庭で山になっていた。ポストは段ボールを替わりにしていた。一部の部屋の壁紙と、照明はまだ付いていない。

 

昔の人は、「満ちればあとは欠けるのみ」と、月の満ち欠けに見立て、わざと建物に未完成な部分を残したそうだ。そんなものとも言える。もっとも、「そんなもの」は古来押入れのなかの壁などで表現され、ウチのように日頃見えるところで配線がむき出しになっていたりするのは珍しいだろう。だからと言って強い不満もなく、誰も不満に思わないからそのままで、たまに大工さんが思い出したように作業にやって来る。

 

ガルシア・マルケスの「族長の秋」を読み返す。何年か前に読んだはずだけど、ほとんど覚えていない。独裁者が孤独を増す、話のはず(覚えてない)。

 

昨日まではマイケル・サンデルの「実力も運のうち」を読んでいた。「実力主義」をテーマにした本。仕事や学歴の達成を功績とし、そのための努力を道徳的達成と同一視してしまう、と。そうすると、仕事や学歴での達成を持たないものを見下し屈辱感を与える、それが現在の分断の元になっている、みたいな内容だった。読んでよかった。

 

ポストの設置はまだ続いている。いくらか暗くなってきた。なんとなく外に出にくい。外にでない言い訳にもなる(自分に向けての)。ポストを楽しみに待とう。

 

終わったらしい。なんか他にも変わったなと思ったら、表札も付いていた。未設置のものの特定は難しい。