町田の住宅街の側は知ってる

土曜日

町田に行く。連絡できる知り合いはいない。前は仲の良かった同期が町田に住んでいた。ある日遊びにいくとドアノブが取れていた。別れた彼女に壊されたと言う。自分の精神が不安定なので、病気みたいな子しか好きになれないと言っていた。僕がいくらか仕事に慣れはじめた頃、その同期とは疎遠になった。

 

もう1人、地元の同級生が住んでいたけれど水戸に転勤した。今でも酒に誘うと特急で上野まで来てくれる。そいつのアパートの外壁に、下手な字で「ロックン・ロール」と落書きがあった。近くの中学生とかが書いたのだろう。恥ずかしくて見てられない。でも見てしまう。

 

街は都会なのに外れる方に5分も歩くと住宅街になる。くたびれた民家の向こうにマンションがある。古いパン屋は大量の落書きをされて、米屋がアパートに囲まれてぽつんと佇む。治安がいいのか悪いのかはよくわからない。たぶんよくはない。素敵な眺めだった。

 

 

日曜日

ジャガイモは3月に植えるといいと言う。あまり寒い時期に植えると芽が出ないことがあるらしい。3月になったので種芋を買う。芽出しという作業があり、日向にジャガイモをならべておく。ウッドデッキの上にならべた。子供のころ、泥団子を作って干していたのを思い出す。

 

ジュノ・ディアス「ハイウェイとゴミ溜め」を読んだ。ドミニカとアメリカのスラムで成長する少年の話。ハイウェイとゴミ溜めで、スラムは周囲から区切られる。見たくないものは隠してしまう。そこでの生活はかならずしも酷いことだけではないけど、閉塞感と階層の閉鎖性はどこまでもつきまとう。すごくいい。