星座はわからない、「プールサイド小景・静物」

家でインフルエンザ禍が続いている。子供の熱は下がったけれど、しばらくは家にいなければならないらしい。帰宅してからそっと散歩に連れて行く。星座を聞かれて何も答えられなかった。オリオン座しかわからないし、それさえこの辺りは夜空が明るくて見えにくい。

 

子供の頃、星が好きだったのに、ベテルギウスがいかに大きいかや、ブラックホールの異様さばかりに心を奪われていた。幸い、自分の子供もそういったことに興味を持つものの、さすがに夜空を見上げながら話すようなことでもない。月がゆで卵みたいだねなどと話した。月はここでもよく見える。

 

焼きそばを作って皆んなで食べた。焼きそばならできると思ったら、材料の加減がわからず、肉が多く、野菜が少なくなった。味は美味しい。なぜなら食品会社の力で、魔法みたいな粉を入れるだけでいいから。子供は美味しいと言ってくれる。たぶん、かなり甘い採点をしてくれている。

 

庄野潤三プールサイド小景静物」を読んだ。大変地味な家庭の一隅みたいな話ばかりだけど、不誠実の自己正当化とか、予期せず起こる不穏な変化とかは、実際に自分の周りにもあり得るものとしてのリアリティがあった。かなり面白かったのかもしれない。すっきりとは分かりにくい。