海の底

職場が海の近くにある。そうは言っても大きい建物だから、普段は海を感じることは少ないのだけど、今日は風向きの影響かとても強く潮の匂いがした。それが暑いのかどうかわからない気温や、古くて大きな建物の雰囲気と相まって、ぶよぶよした海の底にいるような気分になる。意外にそれほど悪いものでもない。

 

気分がいいのでいつもより話す。仕事の説明をするときも、いつもより長い。帰りそうで帰らない。周りの人も、こう日によって振る舞いが変わると疲れさせてしまうだろうなと思う。でもやめられない。

 

久しぶりに会う後輩と飲みに行こうという話になった。行き合うときも特に話さないので異動したら距離を置くタイプなのかと思っていた。ネガティブに考えて、まったくの思い違いだということがよくある。これもやめられない。ただ、最近は取り違えの多さを意識はしている。

 

帰り道、海のほうを歩いた。小さい子供がヨタヨタ歩いていて、こんな時間に元気だなと思ったけど、考えてみればまだ6時くらいだった。日の入りが早くなった。海の向こうには低く満月がかかっていた。赤レンガ倉庫でオクトーバーフェストをやっていて、テラス席に座る人のシルエットが見える。雨が降ってアスファルトが濡れる匂いと潮の香りが混ざる。たいへん芳醇なことだった。雨はすぐに止んだ。よかったね。

 

それから近くのクリエに入り、トーストは売り切れだと言われたので、クッキーを食べている。クッキーもおいしい。