ビーチサンダルの帰還

テレワークをする。仕事はしていない。意欲はどこか遠くへ行ってしまった。それは波間に流されていくビーチサンダルのようだ。一抹の寂しさもある。たまに近くに運ばれてくるけれど、けっして手は届かず基調としては遠ざかっていく。

 

ウェブアーカイブで古いブログなどを読んでいた。多くのブログが始まっては消えていった。これらを書いた人たちはどこへ行ってしまったのだろう。確かに存在したはずなのに今はいない。

 

そんなのはブログに限った話ではない。でも、ウェブの世界では分かりやすく顕在化する。ここでは人は無名性という茫漠とした無尽の大海みたいな世界に、自我なりの一筋の光を持って一瞬出てまた帰っていく。

 

隣の敷地で竹の抜根作業をしている。重機が土を掘り返す。大変騒がしい。しかし竹は放っておくとすごい勢いで増えるし見苦しい。駆除しようとすれば根を掘らないとすぐ元に戻るらしい。なので、ありがたいことでもある。他人の土地なのに義理の父がやっている。

 

努力して仕事の資料を開いていじっていたら少しだけやる気が出た。いくらか修正して関係者に確認依頼をする。ファイルを閉じたらやる気も消えた。

 

いつかビーチサンダルも戻ってくるかもしれない。そのときは何もなかったような顔をして、それを履いて家に帰ろうと思う。戻らなければまた考えないと。