国道駅

むかし、何かの理由で鶴見線国道駅のガード下を通ることがあった。おそろしく古い駅で雑然としていた。それからは、ふとした時に国道駅のことを思い出す。「いつまでも変わらない」というイメージがあった。

 

実際には、久しぶりに行くと、前には営業していた飲み屋が閉まっていた。店や住居の出入口に見えるところも板で塞がれている。さすがに限界のようだった。

 

至るところにJRの使用許可を示すシールが貼られている。あたらしい使用者に許可がでることはないだろう。すでに消えていくことが予定されている。

 

一件だけ閉店の貼り紙がしてあった。コロナ認証店と書いてあったので、最近まで営業していたらしい。閉店の成り行きに強い悔いはないように見えた。そういうことには安心する。

 

ガード下を脇道の先から見る。淡い照明のした、落書きだらけの壁が浮き上がるように見える。向こう側の世界みたい。

 

照明のしたはLEDの光がとても強い。でも、少し離れると柔らかくなる。壁とか地面が光線のとげとげしさを吸収する。いまだに使われている家もあった。そういう家は当然だけど出入口を板で塞がれてはいない。そして、おそらく板は増えていく。

 

ガード下を抜けてしばらく行くと川だった。ここには普通の家やマンションが建っている。かつてあったもの、かろうじて今もあるものを見る。

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