雨が降る、本(『吉野葛・盲目物語 - 谷崎潤一郎- 』『風林火山 - 井上靖 - 』)

ジョギングをしていた。気が付いたら重たい感じの雲が四囲にあり、今にも雨が降りそう。標準からは少し軽い体重でも、明らかに余分な肉がついている。30分くらい走って、ようやく200kcalの消費、それは茶碗1杯のご飯程度の分らしい。雨を気にしている場合ではない。運動の爽やかさと、イヤフォンで聴くビリー・アイリッシュの気怠い雰囲気がすべてをちょうどいいくらいにしていた。あまり爽やかなのも困る。

 

途中、鬼越トマホークの禿げたほうに似た人を見た。車から降りて歩いているところだった。そんな人がいることを、普通は知ることがない。発見。ただ、彼と話すことがあっても、恐ろしくて言えないだろう。やはり怖い顔をしていた。ほかに言える人も中々ないだろうから、本人さえ認識していないかもしれない。でも、いろんな人にそう思われてるよ、たぶん。

 

あとは本ばかり読んでる。

 

吉野葛・盲目物語 - 谷崎 潤一郎 - 』

お市の方(信長の妹)の生涯を、側で仕えた盲目の按摩の視点で描いていた。武将の類を中心にしていないので、普通とは語り口が違い、お市が城にこもっていた期間などは急に話も飛んだりする。その間に信長が死んでいた。信長はやはりそれなりに悪かったのだなと思う。

 

風林火山 - 井上 靖 - 』

武田信玄の軍師(だったとされる)山本勘助が主人公。実在さえ疑われる山本勘助が、あれこれ話したり、異様な能力で城を落としたりするのだから、完全なフィクションであり、娯楽としては大変おもしろい。上杉謙信が底知れない武将として出てきてかっこよかった。鷹の団のグリフィスみたい。

 

 

結局、雨は降らなかった。一方の空には晴れ間さえあり、虹でも出ないかなと思ったけれど、そもそも雨になっていない。ビリー・アイリッシュは気怠い。