「ねじまき鳥クロニクル 第1部」村上春樹
村上春樹が好きで、いろいろな小説を頻繁に読み直すのだけど、「ねじまき鳥クロニクル」は久しぶりに読む。1つには、けっこう大部で読むのに心の準備がいる。もう1つは、途中にかなりグロテスクなシーンがあって、読むのを躊躇していた。
久しぶりだったので、プロットを割と忘れていた。失業中に猫がいなくなるくらいの非日常から、少しずつ奇妙な人が出てきて、非日常性が増していく。第1部では、奇妙な人が増え続けていく。増えるだけで収束しない。
不登校でペシミストの女の子、電話口だけに現れるアニマみたいな女、一般論を話す預言者、苦痛の権威たる預言者の妹、そして戦争の話をする間宮さん。
間宮さんは、ノモンハン事件の前年の、モンゴル国境での話をする。はじめから明らかに重苦しい雰囲気の話なのだけど、それにしても驚くくらいのグロテスクな拷問シーンが描かれる。苦痛に関する、すごい説得力だった。
井戸の底に、天啓のように陽光が届く。
そしておそらく私は、そのときに感じたように、あの光の中で消え入るがごとくすっと死んでしまうべきだったのです。それが私の死に時だったのです。
あまり覚えていないのだけど、話はちゃんと収束するのだっただろうか。