家のまわりが田園

朝起きて、本棚の整理をした。家のなかにやたら本棚がある。そのどれもに乱雑に本が積まれていて、なにがなにやら分からない。作家ごとに並べるなどした。「ノルウェイの森」が見つからず、よく探すと文庫本で持っていた。単行本は実家にあるようだった。だいぶ混乱している。

 

太宰治ヴィヨンの妻」と村上春樹ノルウェイの森」を読んでいる。学生の頃に読んだものを、繰り返し繰り返し、歳月を経て未だ読んでいるとは思わなかった。サリンジャードストエフスキーも変わらず好きだ。それらは自分が快活な存在ではないことを思い出させてくれる。仕事や子育てをしていると忘れるときがある。

 

扉を開けて外に出たら、上からムカデが落ちてきた。手のひらを少しかすめた。びっくりした。妻が踏んでいた。強い。

 

薪台に積んである薪の上下を入れ替えた。もらった薪が買ったものよりだいぶ長く、それが上にあるのでバランスが悪い(落ちてきそう)。一度すべての薪を降ろしてから積みなおした。娘が手伝ってくれた。作業時間で見れば明らかに遅くなるけれど、合理性で測るものではない。

 

庭の一角に雑草を集めている。いつかは腐葉土になる予定でいる。水槽の水草をカットしたものも混ぜ込んでおいた。たぶんこれも腐葉土になる。薪ストーブの灰は菜園部に撒いた。肥料になると聞く。焼畑農業とか草木灰とか、そのようなものみたいだった。

 

夕方、することがないので逡巡のあと外出した。迷っているあいだは無駄な時間だった(合理性)。家のまわりが田園なので、自転車で走っていて気分がいい。懐かしいような気がする風景。とは言え、田園の育ちでもない。想像力に捏造されたノスタルジー

 

公園のベンチで「ノルウェイの森」を読んだ。すごく遠くに来たものだと思う。2歳くらいの男の子が、祖父らしい人を追いかけて遊んでいた。底が抜けたような楽しみ方だった。僕にはむしろそっちの方が懐かしい。本当に遠くへ来た。来てしまったのか。どうなのか。

 

帰り道、栗の木は切られ、その向こうに夕日が沈んでいた(一番うえの写真)。僕はこういうのがけっこう好きだ。人によるのだろうとは思っているけれど。