太陽フレアというものがやってきて、パソコンなどの電子機器が大変なことになる、と聞いたのだけど、夜になっても特に何も起こらず、フロアからはどんどん人がいなくなっていって、日常的な方法で静かになった。磁場の異常が起こる。鳥は死に絶え、毒のあるイナゴの群れが空に満ち、日頃カーナビに頼りきっている僕らはどこにいるのかさっぱり分からない、みたいな世界があったのかもしれなかった。結果的にはこの上なく平和だった。

 

やるべき仕事がどんどん増えていく。ここまでくると少し楽しくなってくる。端に追いやった仕事が、見えないところで増殖していっているのではないかと思う。問題が、また別の問題を連れてくる。卑近な話なのに、それなりに切実。

 

昔の友だちから連絡があった。金を返したいらしい。いくら貸したのかも思い出せない。貸すのはまだいいのだけど、僕の場合は借りたことも忘れるタイプなので、金銭的に一応困らない生活ができるようになったのはよかった。電気が止まると水も止まる。歯を磨けないとか、風呂に入れない、というのは意外にストレスで、近くの公園で水を汲んで帰るときの気持ちは、太陽フレアで電子機器が止まったときの誰かの失望と比べても遜色ないだろう。毒のあるイナゴの群れの出来を望みかねない。そういう時に見上げた空は見事な満月だったりする。タチが悪いとも言い切れない。