性分のようなものはずっとそのまま

桜が咲いてきたなと思ったら、いつの間にか満開になっている。間もなく散り始めそうな風情でもある。心の準備が追いつかない。 月曜日 異動できなかったことに消沈する。新しく来た上司はよく知っている人だった。昼休みに話す。しばらく会っていなかったけ…

栃木旅行(館林市、足利市、佐野市、栃木市、日光市足尾)

職場の後輩と昼を食べていてどこかへ行こうという話になった。「どこか」はどこでも良くて、ただ日々の変化が重要なだけなので栃木県の足尾銅山にした。谷中村滅亡史を読んだから。途中の市にもなるべく寄った。二度と行くことのないだろう街に寄る。 館林市…

薄汚い街だけ好きなのかもしれない

年度末で色々あって人と会ったりはできない。仕事が色々で、他に気を向けられないのでは、何だか本末転倒な気もしてしまう。 月曜日 毎日通る道はどちらかというと薄汚い繁華街で、自転車が街路樹のツツジにめり込んで止められていたりする。それでも蒲田で…

一週間は意外に長い

一週間は意外に長い。 月曜日 仕事に行くのがしんどい。でもそんなことを思いながらこの先ずっと働くのも大変だと感じる。どこかでやる気のようなものを得られないだろうか。職場に体調不良の人が出ていた。上司が電話で明日も休めと説得していたらパワハラ…

一日の終わり

夕方になって、だんだんと暗くなっていく。修理を頼んだ自転車を取りに行く。途中に通るアパートの庭で、ブラジル人が集まって話している。昨日もいた。狭い庭でただ集まって話す。そういう文化があるのだろう。なんだか素敵だ。 僕もウッドデッキで本を読む…

悪徳の街で串カツを食べる

日に日に暖かくなっていく。少なくとも基調としては暖かくなる。ある朝が寒いとしても、それは去り行く寒さ。 月曜日 スマホ脳(新潮新書) 作者:アンデシュ・ハンセン 新潮社 Amazon 「スマホ脳」を読む。漠然とだけど、今までもスマホでニュースを見てしま…

町田の住宅街の側は知ってる

土曜日 町田に行く。連絡できる知り合いはいない。前は仲の良かった同期が町田に住んでいた。ある日遊びにいくとドアノブが取れていた。別れた彼女に壊されたと言う。自分の精神が不安定なので、病気みたいな子しか好きになれないと言っていた。僕がいくらか…

木を切り倒すその人の話を聞いてみたい

老人が迷子になると町内放送が流れる。どこから聞こえるのかと思っていたら、ちょっと先の角くらいのところにスピーカーがあった。発見されても放送がある。良かったねと思う。たまに発見の放送を聞きのがす。きっとだいじょうぶ。 月曜日 上から、消費者金…

花粉とともに春がくる

少しずつ春が近づいている。奇妙なペイズリー柄のカーテンごしにも、家庭菜園のルッコラが緑色を濃くしているのがわかる。西日がとても強い。日曜日の午後4時。 月曜日 今週も仕事に行くのかと思った。そう思うと同時に、近年テレワークや出張が多くて、1…

都会は矛盾に溢れてて大好き、疲れるけど

今週のこと 水曜日 www.perfectdays-movie.jp 仕事終わりに平塚の映画館に行く。ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』を観る。主演は役所広司。『ベルリン天使の詩』が好きだけど、古典みたいな雰囲気の映画なので、今になって新作が観られるとは思わな…

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』 - 村上 春樹 / まさに村上春樹的世界

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(新潮文庫) 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 村上春樹的な世界というのがあると思う。作家が見る世界の成り立ちがある。優れた作家には大なり小なりそういうものがあるのだと思うけど、村上春樹にはそれがと…

上野(上野公園、谷中墓地、アメ横)

茨城県に転勤した友人と会うために中間地点でと上野で飲むことになった。だいぶこちらに近づけてもらってる気はする。かなり早めに着いた。 上野はすごい人の数だった。いつ来てもすごい。上野公園をたくさんの人が散歩している。巨大な公園で何度来ても全体…

藤沢駅(名店ビル)〜鵠沼駅

藤沢駅前の名店ビルがいつからあるのだろうと調べて、再開発で取り壊されることを知る。ちなみに1965年の創業だった。藤沢には、高校生の頃に予備校で来ていて、当時は都会のように思っていた。今になって見ると、人は多くてもすべての建物が古くなっている…

「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」 - ガルシア・マルケス

純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語: ガルシア=マルケス中短篇傑作選 作者:G・ガルシア=マルケス 河出書房新社 Amazon ガルシア・マルケス 1928-2014 コロンビアの作家・小説家。代表作は「百年の孤独」。1982年にノーベル文学賞を…

平塚市内(平塚駅〜中央図書館)

平塚で仕事。午前、午後といろいろな人の話を聞く。皆が協力してくれるのに疲れてしまう。人と話すことに疲れやすい性分なのだと思う。 昼、平塚にいる友人と昼食に行く。来客対応でかなり遅れてくる。他人に怒りをぶつけるのは、重荷を他人に担わせるように…

午後のサッカー、「深い河」

新宿方面へ行く。遠出が苦手なので滅多に行かない。土曜日の昼頃で、空いていると思った電車は人でいっぱいだった。これだけの人がどこへ行くのだろう。新百合ヶ丘あたりでさらに混み合って、そこからは本を読むのも難しくなり窓の外を見ていた。 隙間なくた…

バーナー、「数学を使わない数学の講義」

テレワーク。家から一歩も出ない。ウェブ会議で関係先との進捗共有もできる。テクノロジーの進歩も動かないでいいという点でありがたい。薪ストーブをバーナーでつけるようになった。革命的に火つけが楽。ブラジル食材店で買ったチーズ入りコロッケがおいし…

薪、シェラスコ、「ダンケルク」

昨日までのこと。 金曜日、仕事の帰りに横浜で飲む。ジョイナスの地下の店を指定されたけど、どこにあるのかわからなかった。ムービルのあたりの橋を渡り引き返す。日に日に場末感を増す5番街から、存在も知らない階段を降りたら着いた。知らないところがま…

年末のSpotify、「私たちはどうつながっているのか」

年末になるとSpotifyがその年に聴いた音楽をプレイリストにしてくれる。けっこう楽しみにしている。今年一番聴いたのはバッハ、二番目はSonicbrat、三番目はハロルド・バッドだった。ミニマルなものばかり。次にビリー・アイリッシュが入っていたけれど。あ…

薪の調達、燻製

昨日のこと。 薪ストーブ用の薪が想像以上のペースで減っていく。調達先を調べていたところ、家の近所に薪販売所があった。近所にあるとは思わなかった。薪職人みたいな難しい人だと気まずいので娘と行ったけど、話しやすい人だった。ただ職人ではあった。あ…

「ドレス」藤野 可織

ホラーとSFが混在する話を集めたような短編集。正気と狂気のグラデーションは境が曖昧で、しかもおかしいのが主人公なのか周囲の側なのかが今ひとつ判然としない。一つ一つの話は短いので、急に断ち切られるようだった。でも実際の生活は続く。そういうのは…

「メッセージ」(映画)

「メッセージ」 テッド・チャンの小説が原作。ソシュールの言語学に、言語構造が世界の弁別の仕方に影響する、という考えがある(らしい)けど、それを異星人との遭遇で行う。異星人は時間の流れを単線的なものととらえていない。その表記法を学ぶうちに主人…

内心のホールデン、「幸福な死」

電車でよぼよぼの爺さんが席を譲ってもらえず、杖をついて立っている。たまに電車の揺れに合わせてよろめく。そういうのを見ると、うまく組成されなかった世界に責任の一端を感じて傷つく。心のなかのホールデン・コールフィールドが、案に相違して歳をとっ…

注文できない回転寿司、「あるクリスマス」

友人と会うために、平塚のオリンピックというモールで待ち合わせた。電飾がキラキラ綺麗なのに人が少なく、僕が知ってる頃より寂れてしまったのかと思ったら、閉店の15分前くらいだった。安心した。女の子が2人、不思議な踊りを動画で撮っていた。そういうの…

芋掘り、帰省、「サンデルの政治哲学」

午前、子供と芋掘りをした。結構取れた。今年から野菜を作り始めたので、土ができておらず不思議な形の芋が多い。それも少しおかしい。来年、再来年と続ければ、段々とそういうことも少なくなっていくだろう。子の成長と、土の成熟と。 サンデルの哲学の解説…

石を拾う、「ノクターナル・アニマルズ」

庭の石を拾った。庭一面に石が落ちている。アスファルトの細かいものに見える。荒涼とした雰囲気を出して見苦しいなとずっと思っていた。途中から子供も手伝ってくれたけど、なかなか無くならない。石が地中から生えてくるようだった。けれどあらためて遠く…

カキフライを食べない、「グランド・マザーズ」

仕事のすごく偉い人の現場の案内をした。顔馴染みの守衛さんに偉い感じの人たちが来てますよ、と言われ、向かうとまさにその人たちだった。遠目にも偉そうな人たちで守衛と笑う。何が違いを出しているのだろうと話す。着ている服だろうか。それともたたずま…

うなぎ、「シェイプ・オブ・ウォーター」

彫刻家から、先日の礼でメールが届く。率直な心情を書いた文面だった。こちらから返すときも文章に迷いながら書く。過剰に事務的にならない文章を書こうとするといつも難しい。多分できたと思う。 朝、老人に電車の席を譲る。すぐに降りるかなと思ったけど遠…

彫刻、「国境の夜想曲」

午前中、先日買った彫刻を届けに、彫刻家と画廊の人が家に来た。置く場所などを話し合う。彫刻家と話す機会はなかなかないと思う。前に仲が良かった友人も、父親が彫刻家だった。友人は経済的にかなり苦しい生活をしたと言っていた。それでも羨ましいと思う…

最後の鼓笛発表

子供の幼稚園の行事で鼓笛発表を見に行った。幼稚園児は日々育って、行事で立派に楽器を演奏するということは、代償に過ぎ去っていくものもあり、そんなことに感傷的になったりもする。小さい子供は自由に動きまわっていた。いかなる意味でも馴化されていな…