特に何もない1日。職場の夏休みがまだ残っていたので、午後を休んだのだけど、それでも何もなかった。今さら夏ということもないだろうとも思う。近所の神社で鯉にエサをやった。散歩した公園などはヤブ蚊がとんでもない数でほとんどいられなかった。道祖神は雨に穿たれて顔がなくなっている。宗教上の深刻な諍いでもあったかのようだ。実際には、スピードを出しすぎた車がたまになぎ倒すくらい。しばらくすると誰かが立て直して元どおりになる。あまりに頻発するとポールでガードされるようにもなる。平和な土地。蝶とトンボが飛んでいた。今が季節のいつの頃か分からなくなりそう。木立の向こうを走るけっこうな音量の電車の通過に驚いたりもする。何も起こらない。時間が淡々として過ぎていく。

昨夜は台風で激しい嵐だった。雨樋がたまに雨を処理しきれなくなったような、コポンコポン、という音を立てていた。遠くから波の音が聞こえた。ここら辺に住み始めた頃はその音が波だとわからなかった。ずっとザザザザ、と言っている。白黒テレビの放送終了後の砂嵐みたいな音だ。聞いたことはないけど、多分そんな感じ。外は嵐でも、意外に普通に眠れる。雨戸を閉めてしまえば、雨音はかすかに聞こえてくる程度。そのくらいの雨の気配は、むしろ眠くなる。毎日降っていれば、安眠が習慣になるかもしれない。

 

目が覚めたら、嵐のことはすべて忘れたように晴れていた。空は限りない青。でも、その辺を歩いていると、マンホールから水が逆流し、その辺を小川みたいにしていて、大雨をふいに思い出させる。海に行けば、台風で打ち上げられた途上国の木造漁船とかが見られるかな、と思った。実際に行ってみたのだけど、波濤はまだ高く、砂浜は洗われきって、木片一つ落ちていなかった。普段よりよほど綺麗なくらいだった。工夫のない映画のラストシーンみたいな波だった。太陽はじりじりと腕を焼く。タバコを1本吸った。それから帰った。何も変わったことはない。途上国の木造漁船は無事に係留されている。

健康診断の結果、心電図に心室性期外収縮とか不完全右脚ブロックなどの緊迫した感じの異常所見が並んでいた。調べてみるとそんなに深刻なものではないようなのだけど、それでも嫌な気持ちにはなる。いつもより心臓の存在を意識してしまう。あと、ちょっとかっこいい異常所見だな、とも思う。名前がすごい。期外収縮、右脚ブロック。つい口にしたくなる。

 

キャンプがなくなった途端の3連休のやることのなさ。残業をしながら急に飲みたくなっても、そこは山の中。誰かを気軽に誘うことはできない。じゃあ、横浜で、となっても出るのに数時間単位の時間がかかる。どこかへ行きたい。時間が残っていないかもしれない。胸が痛む。それは気のせい。そして楽しめる。概念として文学的な気がする。

台風によりキャンプは中止。サイトはすぐそばで、多少の雨が降るようでも途中でテントをたたんで帰ればいいとも考えていたけれど、週末にちょうど上陸しているらしい。それはちょっとな、と思った。僕はよくても、同行する人が嫌がる。焚き火がしたかった。暑くも寒くもない日に意味もなく薪を燃やす。行為の純粋性を際立たせる。

 

epic45というバンドの曲を毎日のように聴いている。今のところやったことがないけれど、人のいないキャンプサイトで、一人で音楽を聴きながら焚き火をしてみたい。これはもはや、小さな夢でもある。すぐにでも達成できそうだし、とてもリーズナブルだ。あまりにも小さいから、ついでにカヌーで川を下るのもいい。


Epic 45 - We Were Never Here

スズメバチが職場に侵入して、スプレーで殺す騒ぎ。後から考えると楽しそうだけど、最中は緊張感が溢れていた。2日前に駆除したスズメバチより明らかに大きく、あれはオオスズメバチというものだったのではないか。子供が喧嘩していたら先輩が出てきてしまったみたい。

 

土曜日から行くつもりでいたキャンプは、接近している台風の影響で多分中止になる。毎日増えていく仕事上の懸案によるストレスを、空想の焚き火で慰めていた。明日からはそれができない。正面から向き合う必要ができた。

 

仕事が本来終わる定時の頃、最近では、残照に、西の空の雲が赤く染まっていてとても綺麗。もう少し働こうかと思わなくもない。夜になると何も見えなくなる。その、過程の時間がどんどん短くなる。今夜は帰る途上でタヌキが走っていた。いるところにはいる。そしてここはいるところだ。

 

酒を飲んで寝る時間になってきた。ウイスキーがあるのに缶チューハイを飲んでしまうのは、然るべき時を待とうとしてしまうからなのだろうか。でも、今日だって然るべき日だ。蜂は死んだ。悔やまれるべきことと、誇れることがあった。いつとも変わらない。

出張で横浜に行った。横浜には前に職場で一緒だった人などがたくさんいるので、会おうと思えばいろいろと話したい相手はいる。あとは気持ちの問題で、かつて同じところで働いていただけの関係で、どれくらい訪ねていこうとできるか。今、会わない相手とは自然に疎遠になっていくだろう。でも、そんなことは何度も繰り返してきた。

 

今日はそれなりの人たちと話すことができた。寝ている人やいない人もいた。しようがない。仕事が爽快なほどにトラブルを起こし続けているので、明日も大変になる予定。

スズメバチが駆除されていた。業者はピカピカ光る銀色の防護服を着ていたので、遠くから見ると宇宙人が訪ねてきたみたいだった。楽しいかい?それなりに。

 

星野道夫という人の書いた本を読んでいる。アラスカに住んで、20年くらい前に熊に襲われて死んだ写真家の本。アラスカには簡単には行けない。ただ、いつでも広い大地をイメージできるといいと思う。明日は都会に行く。